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防災教育の取り組み(1)宮城県松島中学校


最終更新日:2012年1月9日


◇簡易耐震診断から被災住宅早見まわりマップを作成

 今の中学3年生が2年生の時、2年生全員を対象に町の耐震診断士を招いて簡易耐震診断を学んだ。当初は、中学生には無理だろうと考えていた簡易耐震診断も、実際にやってみると中学生でもできることがわかった。
 柔道部員8人が町を災害から守ろうと防災学習グループ「きんとうん」を結成した。
 町と協力して耐震診断を希望する家を探した。希望する家に、中学生が懐中電灯などを持って簡易耐震診断を実施した。この取組みは授業の一環ではなく、夏休みや10月の連休を使ってボランティアで実施している。
 耐震診断結果や危険個所の点検などをもとに、地震のとき倒壊危険のある家を効率よく早く被災状況がチェックできるように「被災住宅早見まわりマップ」を作成した。できあがったマップは、町民にプレゼントした。
 早見まわりには、「きんとうん」だけではなく、テニス部や生徒会長なども参加している。現在は2代目「きんとうん」を育成している。

 取組みを発案してから約2年で防災マップを作成するところまでこぎつけた。地元の大学生や高校教員とはつながりができているが、高校生とはつながりがない。高校生とつながりを作っていくことが今後の課題である。
 グループは、耐震診断の活動のほか、町民対象の耐震診断講習会で、受講中の高齢者の横で計算方法を教えたりもしている。

 高齢者だけの世帯に中学生が行くと大変喜ばれる。耐震診断を通じて中学生と高齢者が交流し、顔の見える関係を築いていくことで、地域防災力向上につながっている。

◇さまざまな工夫で防災学習

 中学校では総合学習の授業だけでなく、各教科にも防災学習を取り入れている。国語では、防災標語を作る。社会科では、阪神・淡路大震災の歴史について学ぶ。技術では、筋交いなどの建物構造について学ぶ。そして、松島町は日本でも有数の観光地で外国人が多く訪れる。地震が起きたときに「あぶない!!」の一言が言えるように、英語で「あぶない!」の一言をどう言えばいいのかを学んだりもしている。防災に関心のある校長先生が、自ら生徒にサバイバル術も教えている。

 避難訓練では、通常の避難するだけの訓練ではない。漁港に行って、牡蠣の殻をもらって来て、廊下にばら撒き(ガラスが割れたと想定)、その上を避難させる。そのほか、テレビを降ろして廊下に置いて障害物を作ったり、避難路に煙を発生させ、防火シャッターを閉めるなど本番さながらの訓練を実施している。授業のない教員が、訓練10分前に生徒に気づかれないように準備している。本番さながらの訓練に、生徒たちは大変驚いた。

 生徒だけでなく、教員もきちんと避難誘導できるか試した。防火シャッターを閉めたところ、扉を開放して生徒を適切に避難誘導することができた。


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